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まちを好きになるとき

菊池 理香

菊池理香私は、チョークアートという絵の作家をしています。
正直言うと、私は地元のことについてあまり興味がありませんでした。地元で生まれ育ち、独特な田舎のしがらみを見てきた私はむしろ、面倒臭い、関わりたくないとすら思っていました。少しでも変わったこと、目立ったことをすると噂されることに鬱陶しさも感じていました。このチョークアートの仕事をするようになってからも、外の世界に目が向いていて、自ら積極的に地域のことに関わろうとはしていませんでした。
そんな時に、SNSを通して私の活動を知っていてくれた方から、小美玉市が関わる活動に協力してくれませんかという依頼を受けました。それが、先に開催されたヨーグルトサミットの企画のひとつ『乳酸菌アートプロジェクト』でした。これは、ヨーグルトサミットを盛り上げようと市民の有志が企画したもので、市内の子供達にそれぞれイメージする乳酸菌の絵を描いてもらい、そのうちの3点を選定し、それを私がチョークアートで立体的なリアル画に描き起こして、子供達にプレゼントするというものです。
私の技術が必要とされたことの喜び。子供たちとそのご家族の笑顔を見ることができた喜び。このプロジェクトに関わったことで、小美玉市の活動を盛り上げようとする皆さんとの一体感を味わえた喜び。
私にとって、全てが新鮮でした。有志の皆さんは、大変な忙しさの中でもこのヨーグルトサミットを盛り上げようと積極的に動き、かつ楽しんでいる。そして私を「あの乳酸菌の絵を描いた人だよ」とあちこちに紹介してくれ、私は皆さんの明るいエネルギーに溶け込んでいく心地よさを覚えました。
それを機に私は、小美玉をもっと良くしていこうとする有志の仲間に加わることになり、皆がこの地を愛し、日頃からより良くするために考え行動していることを知りました。皆それぞれに希望を持ち、人の良いところを見つけるのが上手で、ちょっと普通と違っても良いものは良いと認め、それを活用して何かできないかと前向きな発想をしているのです。
こうした志の高い人たちと出会い、意識が変わりました。かつて、関わりたくないとさえ思っていた私は、こういった人々の姿にいつの間にか感化され、小美玉の住人であることを誇らしく思うようになり、他の地域の人々に小美玉の良さをアピールするようになりました。そして何か私だからこそ出来ることはないかと考えるようになっていったのです。
人は必要とされることで、貢献したくなる。まさに人の魅力を「見つける」「みがく」「光をあてる」ということ。地域においてのそれが、シティプロモーションにつながっていくのだと思っています。